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[67]バレンタインの真相:2004/02/16(月) 11:58 [ BXB0bPV6 ]
ヴァレンタインは正式には、セント ヴァレンタイン デーであり、そのまま、聖ヴァレンタインの日、という意味である。
その聖ヴァレンタインというのが、キリスト教の聖人、ニコラ・ヴァレンタインのことであり、彼にちなんだ行事なわけであるな。
ニコラは、ドミニコ会の修道士であったと言われる。
1484年、時の教皇イノケンティウス8世が魔女教書を発表し、その中で各地に跋扈する妖術士、異端者の類を取り締まるための異端審問官の設置を各地の領主や司教に要請し、いわゆる魔女狩りが公式に始まる。
ニコラはこれを忠実に守り、周囲に働きかけるとともに自ら異端審問官となってドイツに赴任する。
そして、異端審問官の地位にあった1535年から1544年の9年間に、5000件以上の魔女裁判を担当し、3000人以上の『魔女』を火炙りにしたとされている。
現在、多くの魔女裁判が、根も葉もない言いがかりや、政的の抹殺、あるいは、無知と迷妄によるものであると言われておる。審問官の方も、尋問と称して、己の嗜虐趣味や性欲を満たすのに熱心な者も少なくなかった。
審問官というのは、その気になれば色々美味しい見返りのある仕事である。
たとえば、とある有力者の娘が魔女ではないか、と訴えられたとする。無論、とある有力者としては、娘が処刑されるのも困るが、娘が魔女という事になれば、当然今の地位を失ってしまうわけであって、これも実に困る。
そういったようなわけで、そういうような動きがあった場合には、その地区の審問官を招いて食事会などを開いたりして、ちょっと裏手の方で「そちもワルよのう」「神父さまにはかないませんな」みたいなやり取りをしたりするわけである。
金も権力もある者はこれでもいいが、訴えられる者がいつも金持ちというわけでもないわけであり、ていうか、ちょっとハーブティー飲んだぐらいで魔法を使ったんで魔女だとかわけのわからん事を言われる社会状況だったわけであるから、そこいらの庶民の女性もウカウカしていられない。
そういうわけで、審問官の人は「娘を献上するので勘弁してください」とか「親子ど(略)」とか「姉ま(略)」というような、うらやましい許し難い余禄がヒャッホイだったわけである。
さて、ここでニコラさんの話に戻るが、ニコラさんの偉いところは、このような買収工作などには一切惑わされず、ひたすら宗教的情熱でもって魔女裁判を行なったことである。5000件担当して3000人処刑というのも多いように見えるが、言うなれば5000人火炙りにする方が審議も簡単で面倒がなかったわけであり、真面目に審議を行なった結果であると見ることもできる。
そうした功績が認められ、ニコラ・ヴァレンタインは、1602年に没した後、当時の教皇、クレメンス8世によって、聖人に列せられたわけである。
情け容赦のない異端審問で、聖人となった聖ヴァレンタインであるが、彼が審問官をしていた地方には一つの民話がある。
他人を律し、自分を律する事に一切の妥協をしなかったとされるニコラも、実は何人かの容疑者を贈り物によって見逃していた、というのである。
実は、無類の甘党であったニコラは、先頃、新大陸からもたらされたカカオ豆の飲み物(今でいうココアか)に目がなかったのだ。当時、スペインの上流階級にのみ独占されていたココアを手に入れるのは容易な事ではないが、どうにか手に入れ、彼に贈った者は全員無罪になったと言われている。
この話が、「敵の弱点を突け」的な教訓話となり、やがて、彼の誕生日である二月十四日に、意中の男性にチョコレートを贈ればイチコロみたいな感じで一般に浸透していったというわけなのであった。
意外に陰惨な過去があってのヴァレンタインなので、ちゃらちゃらやっていてはダメなのである。婦女子諸君は、義理チョコなどを配っておる場合ではない。一撃必殺の気合でもって、ヴァレンタインに臨んでもらいたい。
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